『共産党を吾等が排撃する五つの理由』

七、共産党の犯せる重罪を現行の刑法に照して断ず

共産党を吾等が排撃する五つの理由』の第七章、全文(5576字)と要約(557字以下)

※文中の2箇所「即ち万世一系の皇位を廃止し奉らんとする」「朝憲紊乱行為は、彼等が万世一系の皇位を廃止し」の「廃止」は、原文では伏せ字になっています。文脈からその言葉は「廃止」であろうと判断しました。


共産党の犯せる重罪を現行の刑法に照して断ず

共産党運動の危険毒悪なる事情について、前来五項に分って之を述べたが、我が日本国家に於て、特に毒悪としてこれを排撃せねばならぬ第一の点は、実に国体を変革する一事、即ち万世一系の皇位を廃止し奉らんとする許すべからざる犯罪でなければならない。共産運動による国家変革の犯罪は、明らかに叛逆罪である。天皇に対し奉り、弓を引く犯罪である。

天皇の御位置を危からしめんとする大逆罪である。而も皇室に対し奉り危害を加うる程度は、刑法第七十三条に謂う所の
天皇、太皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加へ又ハ加ヘントシタル者云々 の危害の程度に比較して、更に一層甚だしきものである。刑法第七十三条の犯罪は、唯だ皇室の御一個人に対し奉るものであり、而して一時的の危害に止まるのである。

然るに、共産党運動の目的とする所は、天皇直系の御親族の一個人の而も御身体に対し奉る危害ではないとは謂え、実に国家組織の上から、その御地位を危うからしめんとするものである。一時的の危害でなく、永久的の危害を加え奉らんとするものに外ならないのである。

我が現行刑法第七十三条は、御身体に対し奉る一時的危害に対し、その既遂、未遂の如何を問わず、悉くこれに死刑を課することを規定しているが、国家組織の上からする永久的危害を我が皇室に対し加え奉らんとする共産党運動の犯罪は、寧ろ死刑を以てしても尚足らない、国家的に重大なる犯罪だと謂わねばならない。のみならず、共産党運動の犯罪はこれ以外にも現行刑法によって処断さるべき二大犯罪がある。
その一は、内乱予備及び内乱陰謀罪であり、
その二は、外患に関する罪、即ち売国、間諜、抗敵の犯罪である。

然らば共産党運動の犯罪は、数罪具発の夫れであり、極刑により処断さるべきものである。然らば、刑法上に規定されたこの二大犯罪の規定内容及び課刑の量定は如何なるものであるべきか。

我が刑法第七十八条は、内乱予備及び内乱陰謀の罪を規定して
内乱ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタル者ハ二年以上十年以下ノ禁錮ニ処ス とし、可成り重大なる犯罪として取扱って居る。而して我が刑法が内乱と認むる犯罪は、
一、政府ヲ転覆シ
ニ、邦土ヲ僭窃シ
三、其他、朝憲ヲ紊乱スル ことを目的として暴動を為す行為である。(第七十七条)

日本共産等は、その機関紙『赤旗』に於て、昭和三年二月の総選挙に対する指令を発して、次の如く言って居る。
「共産党が、ブルジョア議会に参加するは、ブルジョア国家機関を、内面より破壊する為めである。……
ブルジョア国家の、中心にある議会を、内部から破壊する為めである。
階級闘争の主要なる点は、議会にあるのではない。大衆にある。議会はその一部分である。
議会内に於ける闘争は、階級闘争の根本問題を解決することは出来ない。……
共産党は、大衆闘争により、ブルジョア政権を奪取することを目的とする。
大衆闘争は、内乱にまで発展しなければならない。この発展に対しての一の補助地点たるものが、議会である。
共産党の議会参加の意義は、この補助的地点を占領する為めである。……」 これ明かに、共産党が内乱的暴動を起さんと陰謀し予備しつつあることを、実証するものでなければならない。

然らば、刑法の規定する内乱行為の内容たる、政府を転覆する件に就ては如何。

この点に於ても、共産党は「労働者農民の政府を作れ」のスローガンを、到る所に掲げて居り、機関紙『赤旗』に於て、「当面の闘争目標」として指令し、
「政権の民主化デー。
専制的国家機関の撤廃に、中農小農が一致してやらねばならぬ。
斯くして民主主義の独裁政治を樹立すること」
と謂って居る。更に前述せる国際共産党が、世界に放った指令「革命操典」に於て、その最後の「戦時に於て」の項は、
「敗戦の機に乗じて、汎ゆる不満非難を動員し、政府攻撃に向わしめ、政府転覆政権奪取に猛進せしめ
敵飛行機及び敵艦の砲撃により……益々都市を混乱せしめ、一挙にして中央政権奪取に向う。」 と強調し、明かに共産党が政府転覆を企図するものなることを実証して居る。

更に「邦土を僭窃する行為」は、彼等共産党が、日本国家独立性を剝奪し、以て労農連邦に加えんとする意図により、充分にこれを実証するを得。「朝憲紊乱」行為は、彼等が万世一系の皇位を廃止し、即ち我が国体を変革し、以て彼等共産党一味の専制独裁政治を樹立することを目的として居る所に、明白に現れて居ると断ぜねばならない。

共産党運動の第三の犯罪は、刑法第八十一条乃至第八十八条に所謂「外患に関する罪」であり、即ち「売国罪」である。共産党運動に参加せるものは、事毎に「我等の祖国労農ロシアを護れ!」と叫び、彼等は、彼等の祖国とする労農ロシアの為め、汎ゆる犠牲を払ってこれに奉仕せんと努め、而して労農ロシアの指令にのみ従って一切の行動を起すのである。

かくて彼等は、日本国内の一般情勢のみならず、殊に愛国団体及び軍隊等が、直接且つ積極的に我が日本国家を防護すべく努力しつつある情勢を、逐一労農ロシアに通報し、更に進んで我が日本国家の内部を攪乱し、愛国運動を破壊し、我が日本軍隊を崩壊せしめ、以て労農ロシアが我が国家を破壊して亡滅せしむるに都合よからしむべく、活動しつつあるのである。而してこの目的の為め、常に予備的準備的の活動及び陰謀を逞しうして居るのである。

今我が刑法の規定を見るに、
外国ニ通牒シ帝国ニ対シ戦端ヲ開カシメ、又ハ敵国ニ与シテ抗敵シタルモノ(八十一条)要塞、陣営、艦船、兵器、弾薬、汽車、電車、鉄道、電線、其他軍用ニ供スル場所又ハ建造物ヲ敵国ニ交付シタルモノ(八十二条一項)ハ死刑ニ処シ

兵器、弾薬、其他軍用ニ供スル物ヲ敵国ニ交付シタルモノ(八十一条二項)敵国ニ利スルタメ要塞、陣営、艦船、兵器、弾薬、汽車、電車、鉄道、電線、其他軍用ニ供スル場所又ハ物ヲ破壊シ若クハ使用スルコト能ハザルニ至ラシメタルモノ(八十三条)ハ死刑又ハ無期懲役ニ処シ

敵国ノタメニ間諜ヲ為シ、又ハ敵国ノ間諜ヲ幇助シタルモノ、及ビ軍事上ノ機密ヲ敵国ニ漏洩シタルモノ(八十五条一項及二項)ハ死刑又ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処シ

前条ニ記載シタル以外ノ方法ヲ以テ、敵国ニ軍事上ノ利益ヲ与へ、又ハ帝国ノ軍事上ノ利益ヲ害シタルモノ(八十六条)ハ二年以上ノ有期懲役ニ処シ

第八十一条乃至第八十二条ニ記載シタル罪ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタルモノ(八十八条)ハ、一年以上ノ懲役ニ処ス と規定して居るが、この「外患に関する罪」は、原則として「戦時の場合」を条件として居るが故に、平時これに該当する犯罪を為すとするも、これを罰する刑法上の規定がないと言わねばならない。

平時即ち開戦前又は戦争中でない場合に於ける、如上の犯罪の一部「軍機」に関するものは、軍機保護法其他の特別法によって処断することが出来るが、前記売国罪の凡てに之を適用することが出来ない。

「予備又ハ陰謀ヲナシタル」廉による刑法第八十八条の規定の適用が出来ないではないが、之は刑法学者等の限定した「開戦前」の解釈を余りに延長し過ぎる嫌いがある。けれども、共産党運動の実際の実質的の活動状態は、明かに我が刑法に規定した「外患に関する罪」を、平時から常恒的に犯しつつあるものに外ならない。即ち戦時となれば、労農ロシアと通謀し、必ずや如上の行動に出ることは、彼等平素の行動によって、彼等の公言しつつある所によって、極めて明白である。彼等は明かに、自国軍の破壊、自国政府軍隊の敗北を計り、帝国の不利を図るべく、公言し、行動しつつあるのだ。これが為めに帝国軍隊、帝国政府の受くるの実害のみならず、国民の思想的精神的国防力を破壊せらるる実害、真に絶大なりと謂わざるを得ない。

さすれば、これが取締りの為め、予防の為め、刑法上の明文がなければならない筈である。若しないとすれば、直ちにこれを制定する必要があると謂わなければならない。

軽きに失する刑罰

共産党運動の犯罪が、前記の如くであり、殊に皇室に対する犯罪は明確に兇悪であるに拘らず、この犯罪を処断すべき確定的なる規定がないので、従来極めて軽微なる刑罰にしか処せられなかった所から、大正十五年、三派内閣当時に於て、旧治安維持法が制定せらるるに至ったのである。

然るに旧治安維持法に於ては、皇室即ち国体に関する重大犯罪なるにも拘らず、内乱予備乃至陰謀に関する罪に対する刑罰の程度を以て、即ち十年以下の懲役程度を以て、この共産党運動の犯罪に科刑することとしたのである。而して国体変革、否皇室に対して組織的常恒的の危害を加え奉らんとする行為の方面に対する刑罰は、全く看過され無視されたものとなって居たのである。斯くの如くんば、国家命運の為め甚だ不備危険であると謂わなければならない。

国体変革に関する犯罪を、斯く軽く取扱うに至った原因は、当時の新聞雑誌及び労働運動者側の反対が、余りに甚だしかったことによるであろうが、政府としても議会としても、甚だ迂闊無責任であったと断ぜねばならない。

然るに其後に於て田中内閣成立するや、共産党運動猛劇を極め、昭和三年三月十五日の全国的大検挙を受くる程の、未曾有なる思想的犯罪事件を暴露するに至り、同年六月緊急勅令を以て、旧治安維持法を改定して、国体変革を目的とする結社を組織したる者を死刑、又は無期、又は五年以上の懲役、若くは禁錮に処することに改正したのである。

茲に於て大体皇室に関する罪として、相当の刑罰が課せられることにはなったが、其の後、旧治安維持法及び新治安維持法の適用による裁判の判決例を見るに、十年の懲役に処せられたものは、極めて稀であり、多くは二年三年の懲役であり、執行猶予に処せられたものが、極めて多いのである。

これ等執行猶予を受けた者、又二年三年の刑を受けて既に出獄せる者が、果して日本国家を中心とする思想及び行動に出るであろうかどうかというに、決して改悛した形跡を現さないのである。却って益々陰険兇猛なる方法を以て、共産党類似の過激運動を行いつつあること、疑うべくもないのである。

これは要するに裁判所方面が、この重大なる犯罪に就ての自覚に不足して居る所にあるか、それとも流行新聞雑誌の理解振る傾向から、虚栄的に治安維持法反対の声を挙げて居るのに引き込まれたためであるか、ともかく裁判所側の覚醒に待たなければ、国家の為め甚だ憂慮を禁じ得ないのである。

共産党運動は、皇室に関する罪、内乱罪、売国罪の三罪具初の併合罪に外ならぬものである。大いに重く処断すべき犯罪である。この点是非共、司法当局の注意と厳戒とを要せねばならぬ所である。

共産党の撲滅に邁進すべし

以上縷説し来れる所により、大体共産党運動の危険毒悪なる点は、指摘し得たと思う。この危険毒悪なることは、予の縷説を待つ迄もなく、解り切ったことである。その解り切ったことである筈の事柄が、国民大衆、世間一般に、案外解って居らないのである。例えば、地方でも、東京でも、この種の説明を試むべく講演すると、極り切ったように、そういう事を聞くことは初耳であるという者が多いのである。

国民大衆は、未だ真に共産党運動が、危険毒悪なる所以を了知して居らないのである。彼等は共産党事件を新聞で見、実際運動で見る時、それを是認すべきか否認すべきか迷って居るのである。如何なる態度を以て取扱うべきか惑っているのである。其処に次ぎから次ぎと共産党運動事件が勃発して来る。国民大衆は、益々迷わざるを得ないのである。

この国民が、共産運動の真相とその毒悪性とに関する知識の不足から、迷い惑っていることが、甚だ危険なのである。何となれば、其処が共産党の宣伝の付け込み所であるからである。彼等一味の宣伝が着々奏効するからである。

吾人の怪訝の感に堪えないのは、何故に政府はもっと積極的に、共産党運動の真相とその毒悪性とを、国民によく解るように、徹底するように、説明するだけの親切さを持たないのであるか。政治家は、教育家は、苟も国民指導の任にある者は、何故これを国民に説明してやらないのであるか。

国家が国民が、共産党運動の翻弄する所となり、荒され放題に荒されても、構わないというのであるか。国家が彼等のために、亡滅の淵に追い込まれたとしても構わないというのであるか。然らば、彼等の無責任は、国家の名に於て処断されなければならないのではないか。

共産党運動が上記に縷述し来ったが如く危険毒悪なるものとすれば、当然に撲滅されなければならないものである。国民は直ちにこれが撲滅運動を開始せねばならないのである。

けれども、この撲滅運動を起すに当って、その真相と毒悪なる性質とに就て、知悉して居らなければならないのである。

然らば、共産党運動撲滅運動の第一歩は、共産党運動に対する思想国防の第一着手は、この共産党運動の真相を国民に知悉せしむるの運動でなければならない。政府も国民も、共に眼醒めて相共に、協力一致、挙国総動員の努力を以て、共産党運動撲滅に邁進すべきである。

若しこの努力を欠くならば、遂に我が国家を亡滅の淵へ送らねばならない。そうすることがどうしても国民として許されず堪えられないとすれば、否でも応でも、どうしても撲滅運動を猛烈に起さなければならないのだ。それには、共産党の真相を知って置かなければならない。

然らば、共産党運動撲滅は、如何なる方法により如何なる組織により、如何なる形態に於て、行われねばならないか。それは吾等の攻究を要する緊喫事である。

要約

  • 共産運動による国家変革の犯罪は、明らかに叛逆罪である。

    共産党の犯せる重罪を現行の刑法に照して断ず共産党運動の危険毒悪なる事情について、前来五項に分って之を述べたが、我が日本国家に於て、特に毒悪としてこれを排撃せねばならぬ第一の点は、実に国体を変革する一事、即ち万世一系の皇位を廃止し奉らんとする許すべからざる犯罪でなければならない。共産運動による国家変革の犯罪は、明らかに叛逆罪である。天皇に対し奉り、弓を引く犯罪である。

  • 一時的の危害でなく、永久的の危害を加え奉らんとするものに外ならないのである。

    然るに、共産党運動の目的とする所は、天皇直系の御親族の一個人の而も御身体に対し奉る危害ではないとは謂え、実に国家組織の上から、その御地位を危うからしめんとするものである。一時的の危害でなく、永久的の危害を加え奉らんとするものに外ならないのである。我が現行刑法第七十三条は、御身体に対し奉る一時的危害に対し、その既遂、未遂の如何を問わず、悉くこれに死刑を課することを規定しているが、国家組織の上からする永久的危害を我が皇室に対し加え奉らんとする共産党運動の犯罪は、寧ろ死刑を以てしても尚足らない、国家的に重大なる犯罪だと謂わねばならない。

  • その一は、内乱予備及び内乱陰謀罪であり、その二は、外患に関する罪、即ち売国、間諜、抗敵の犯罪である。

    のみならず、共産党運動の犯罪はこれ以外にも現行刑法によって処断さるべき二大犯罪がある。その一は、内乱予備及び内乱陰謀罪であり、その二は、外患に関する罪、即ち売国、間諜、抗敵の犯罪である。然らば共産党運動の犯罪は、数罪具発の夫れであり、極刑により処断さるべきものである。

  • 「共産党が、ブルジョア議会に参加するは、ブルジョア国家機関を、内面より破壊する為めである。

    (第七十七条)日本共産等は、その機関紙『赤旗』に於て、昭和三年二月の総選挙に対する指令を発して、次の如く言って居る。「共産党が、ブルジョア議会に参加するは、ブルジョア国家機関を、内面より破壊する為めである。……ブルジョア国家の、中心にある議会を、内部から破壊する為めである。

  • ……ブルジョア国家の、中心にある議会を、内部から破壊する為めである。

    「共産党が、ブルジョア議会に参加するは、ブルジョア国家機関を、内面より破壊する為めである。……ブルジョア国家の、中心にある議会を、内部から破壊する為めである。階級闘争の主要なる点は、議会にあるのではない。

  • 階級闘争の主要なる点は、議会にあるのではない。

    ……ブルジョア国家の、中心にある議会を、内部から破壊する為めである。階級闘争の主要なる点は、議会にあるのではない。大衆にある。

  • 大衆にある。

    階級闘争の主要なる点は、議会にあるのではない。大衆にある。議会はその一部分である。

  • ……共産党は、大衆闘争により、ブルジョア政権を奪取することを目的とする。

    議会内に於ける闘争は、階級闘争の根本問題を解決することは出来ない。……共産党は、大衆闘争により、ブルジョア政権を奪取することを目的とする。大衆闘争は、内乱にまで発展しなければならない。

  • 大衆闘争は、内乱にまで発展しなければならない。

    ……共産党は、大衆闘争により、ブルジョア政権を奪取することを目的とする。大衆闘争は、内乱にまで発展しなければならない。この発展に対しての一の補助地点たるものが、議会である。

  • ……」これ明かに、共産党が内乱的暴動を起さんと陰謀し予備しつつあることを、実証するものでなければならない。

    共産党の議会参加の意義は、この補助的地点を占領する為めである。……」これ明かに、共産党が内乱的暴動を起さんと陰謀し予備しつつあることを、実証するものでなければならない。然らば、刑法の規定する内乱行為の内容たる、政府を転覆する件に就ては如何。

  • 然らば、刑法の規定する内乱行為の内容たる、政府を転覆する件に就ては如何。

    ……」これ明かに、共産党が内乱的暴動を起さんと陰謀し予備しつつあることを、実証するものでなければならない。然らば、刑法の規定する内乱行為の内容たる、政府を転覆する件に就ては如何。この点に於ても、共産党は「労働者農民の政府を作れ」のスローガンを、到る所に掲げて居り、機関紙『赤旗』に於て、「当面の闘争目標」として指令し「政権の民主化デー。

  • 共産党運動の第三の犯罪は、刑法第八十一条乃至第八十八条に所謂「外患に関する罪」であり、即ち「売国罪」である。

    「朝憲紊乱」行為は、彼等が万世一系の皇位を廃止し、即ち我が国体を変革し、以て彼等共産党一味の専制独裁政治を樹立することを目的として居る所に、明白に現れて居ると断ぜねばならない。共産党運動の第三の犯罪は、刑法第八十一条乃至第八十八条に所謂「外患に関する罪」であり、即ち「売国罪」である。共産党運動に参加せるものは、事毎に「我等の祖国労農ロシアを護れ!」と叫び、彼等は、彼等の祖国とする労農ロシアの為め、汎ゆる犠牲を払ってこれに奉仕せんと努め、而して労農ロシアの指令にのみ従って一切の行動を起すのである。

  • さすれば、これが取締りの為め、予防の為め、刑法上の明文がなければならない筈である。

    これが為めに帝国軍隊、帝国政府の受くるの実害のみならず、国民の思想的精神的国防力を破壊せらるる実害、真に絶大なりと謂わざるを得ない。さすれば、これが取締りの為め、予防の為め、刑法上の明文がなければならない筈である。若しないとすれば、直ちにこれを制定する必要があると謂わなければならない。

  • 然るに旧治安維持法に於ては、皇室即ち国体に関する重大犯罪なるにも拘らず、内乱予備乃至陰謀に関する罪に対する刑罰の程度を以て、即ち十年以下の懲役程度を以て、この共産党運動の犯罪に科刑することとしたのである。

    軽きに失する刑罰共産党運動の犯罪が、前記の如くであり、殊に皇室に対する犯罪は明確に兇悪であるに拘らず、この犯罪を処断すべき確定的なる規定がないので、従来極めて軽微なる刑罰にしか処せられなかった所から、大正十五年、三派内閣当時に於て、旧治安維持法が制定せらるるに至ったのである。然るに旧治安維持法に於ては、皇室即ち国体に関する重大犯罪なるにも拘らず、内乱予備乃至陰謀に関する罪に対する刑罰の程度を以て、即ち十年以下の懲役程度を以て、この共産党運動の犯罪に科刑することとしたのである。而して国体変革、否皇室に対して組織的常恒的の危害を加え奉らんとする行為の方面に対する刑罰は、全く看過され無視されたものとなって居たのである。

  • 共産党運動は、皇室に関する罪、内乱罪、売国罪の三罪具初の併合罪に外ならぬものである。

    これは要するに裁判所方面が、この重大なる犯罪に就ての自覚に不足して居る所にあるか、それとも流行新聞雑誌の理解振る傾向から、虚栄的に治安維持法反対の声を挙げて居るのに引き込まれたためであるか、ともかく裁判所側の覚醒に待たなければ、国家の為め甚だ憂慮を禁じ得ないのである。共産党運動は、皇室に関する罪、内乱罪、売国罪の三罪具初の併合罪に外ならぬものである。大いに重く処断すべき犯罪である。

  • 然らば、彼等の無責任は、国家の名に於て処断されなければならないのではないか。

    国家が彼等のために、亡滅の淵に追い込まれたとしても構わないというのであるか。然らば、彼等の無責任は、国家の名に於て処断されなければならないのではないか。共産党運動が上記に縷述し来ったが如く危険毒悪なるものとすれば、当然に撲滅されなければならないものである。

  • 国民は直ちにこれが撲滅運動を開始せねばならないのである。

    共産党運動が上記に縷述し来ったが如く危険毒悪なるものとすれば、当然に撲滅されなければならないものである。国民は直ちにこれが撲滅運動を開始せねばならないのである。けれども、この撲滅運動を起すに当って、その真相と毒悪なる性質とに就て、知悉して居らなければならないのである。

  • 然らば、共産党運動撲滅運動の第一歩は、共産党運動に対する思想国防の第一着手は、この共産党運動の真相を国民に知悉せしむるの運動でなければならない。

    けれども、この撲滅運動を起すに当って、その真相と毒悪なる性質とに就て、知悉して居らなければならないのである。然らば、共産党運動撲滅運動の第一歩は、共産党運動に対する思想国防の第一着手は、この共産党運動の真相を国民に知悉せしむるの運動でなければならない。政府も国民も、共に眼醒めて相共に、協力一致、挙国総動員の努力を以て、共産党運動撲滅に邁進すべきである。

  • それには、共産党の真相を知って置かなければならない。

    そうすることがどうしても国民として許されず堪えられないとすれば、否でも応でも、どうしても撲滅運動を猛烈に起さなければならないのだ。それには、共産党の真相を知って置かなければならない。然らば、共産党運動撲滅は、如何なる方法により如何なる組織により、如何なる形態に於て、行われねばならないか。

  • 然らば、共産党運動撲滅は、如何なる方法により如何なる組織により、如何なる形態に於て、行われねばならないか。

    それには、共産党の真相を知って置かなければならない。然らば、共産党運動撲滅は、如何なる方法により如何なる組織により、如何なる形態に於て、行われねばならないか。それは吾等の攻究を要する緊喫事である。

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