冷却ファンは必須

Kossel型3Dプリンタの組立をしてみて

2016年の夏に組立キットを買ったまま放置していた3Dプリンタがようやく動くようになりました。パソコン本体の組立は仕事や個人使用のため何度か経験していましたが、モーターやマイコン基盤があるものは初めて。で、その感想ですが…

こんなに困難とはーー! わかってたらダヴィンチminiなどの完成品にしておいたのにー!!

今回いろいろわかったことを、忘れないようにメモしておきます。

冷却ファンは必須
マニュアル
キット提供元のFolger TechのサイトからダウンロードしたPDFの内容は、届いた部品に対応していないところが若干あり、どの部分がマニュアル通りなのか・どの部分が読み替えが必要なのかが見分けがつかず、作業が滞りました。
ホーミング失敗
3つのローラーがX/Y/Z支柱のてっぺんに着いたところがホームポジションになるわけですが、最初はこれがうまく行きませんでした。どれか一つが動かないようでガガガガガッ→ウィーンウィーンウィーン→停止と惨めな状態が続きました。原因はY柱担当のモーターのネジが緩んでいたこと。タイミングベルトにきちんと動力が伝わっていませんでした。
ファームウェア
Folger Tech提供のMarlinファイルセットを最新のArduino IDEで書き込もうとするとコンパイル失敗になる。しょうがないのでMarlinのサイトから最新版をダウンロードし、Marlin-2.0.x/config/examples/delta/genericのファイルを元に自分のプリンタのあちこちを測った数字で書き換えてコンフィグファイルを作りました。
フィラメント
組立キットとほぼ同じ時期に購入した1kg入りのフィラメントを半年前に開封しました(すぐにプリンタが完成すると思っていたので…。)巻が乱雑で絡まっており、手でひっぱらないと解れない代物だったので嫌な予感はしたのです。これがまぁポキポキとよく折れる。布団乾燥機で復活を図ったものの、ホットエンドや押出しモーターの近くでポキンの症状は変わりませんでした。(別メーカーの新品は巻に絡まりもなく折れませんので、フィラメントは新品良品を使うべきと心得ました)
溶けたフィラメントがあふれる
プリントしている間に溶けてトロトロになっているフィラメントがヒーターの上にあふれ出ました。冷えて固まると強力な接着剤状態。フィラメントの押出量が多すぎるからと思い、Marlinの#define DEFAULT_AXIS_STEPS_PER_UNITの定数とSlic3rのFilament Settings → Filament → Extrusion multiplierの数字を小さくしました。
念のため、ホットエンド部分のパイプとノズルの締めをやり直しました。
ヒートベッドの温度が上がらなくなった
苦労して電線をハンダ付けしたベッドでしたが、ある時温度が上がらなくなりました。エラー箇所はたぶんRAMPS1.4ボード上のどこか。ボード交換はやっかいなのでヒートベッド無しでプリントを試みましたが造形物の底面が反ってダメでした。しょうがないので東芝の鍋あっため器を置いてヒートベッド代わりに使っています。「goot パワーコントローラー PC-11」というハンダごて用の温度調節器を間において高温にならないようにしていますが、長時間プリントしている間に85℃ぐらいにはなってしまいます。クリアタイプのフィラメントはベッドに接着している部分が白く変色します。最初から白色のを使えばよさそうですね。
サーミスタ交換
キットに含まれていた温度センサーが壊れていたので、アマゾンで「NTC 3950 100Kサーミスタ5本セット」を取り寄せました。Marlinのサーマル・セッティングのセクションで「11 : 100k beta 3950 1% thermistor (4.7k pullup)」で設定したところ、動作良好です。
ヒートシンク内のフィラメントがぐにゃぐにゃ
ホットエンドの温度がちゃんと上がらず警告音が出るため、冷却ファンを止めてプリントしたところ詰まってしまいました。今にして思えば温度異常はサーミスタの設定に因るものだったのでしょうが、てっきり冷却しすぎと思いファンを止めたのがまずかったのです。チューブを外して中のフィラメントを取り出すと、ヒートシンクの長さまでぐんにゃり、にょろにょろになっていました。ファンでがっつり冷却しないとこうなるのね、と勉強になりました。

あれこれなんだかんだ、手間と追加費用のかかったプリンタですが、動いている様子はかわいいです。


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